福重の写真集 その692 |
2025年2月9日 現役記者に聞く新聞の読み方のコツ(概要報告)
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(写真1) 当日の会場、中央奥側は講師の岩佐 誠太 氏(長崎新聞社・県央刷局大村支局長) | ||||||||||||||||||||||||||
現役記者に聞く新聞の読み方のコツ(概要報告)
<主な内容> 1) 松浦氏から「朝活しんぶんカフェ」の紹介兼ねて長崎県内のメディアの特徴 私は、これまで三重県や兵庫県などのメディアの状況を知っているが、長崎県に来て県内メディアが発達していることに驚いた。テレビ局が多いし(NHK、民放4局)、長崎新聞は県下各地域の記事が出ているし、読者のシェアも占めている。 現在、毎月第4土曜日に「朝活しんぶんカフェ」を開催して、皆で記事を読んで語りあっている。そして、新聞は地域の情報の宝庫であり、地域起こし活動に役立つものだ。今、SNSなど不確かね情報が多い中、新聞などの正確な情報は大事とも思う。 今日は、現役記者の岩佐さんから、新聞の読み方のコツを教えて頂くことになっている。よろしく、お願いしたい。 2) 現役記者の岩佐氏から新聞の読み方のコツを分かりやすく講話 新聞の意義 情報の多様性 <用語解説>---エコーチェンバー(echo chamber=反響室の意)とは、SNSにおいて、価値観の似た者同士で交流し、共感し合うことにより、特定の意見や思想が増幅されて影響力をもつ現象。攻撃的な意見や誤情報などが広まる一因ともみられている。(デジタル大辞泉より)
エコーチェンバーという言葉があり、これは、人は信じるもの、見たいものだけしか見ない状況を主にいう。このようなことが続けば、極端に偏った情報しか信じない、見ないことになりかねず、危険ともいえる。 長崎新聞の場合は、毎日、政治、経済、地域情報、スポーツや、お悔やみ欄などあり、様々な見出しを付けて、その記事本数は、約150本である。 公益性と客観性 メディアは、様々な報道をしているが、中には「訴えられないのか?」との意見もある。しかし、その記事に、公共の利益、真実であれば、判例上で問題は無い。 それでも、何か問題になれば、マスメディアは、社会的責任があるので対応もしている。それに比べ、SNSは、責任を問われることは、無い。 新聞のメリット ① 活字の魅力 (スマホやPCなどの普及により)活字離れが進んでいると言われている。ただし、活字には、それらにない魅力も多い。例えば新聞や本などは、(読み手が)想像力を働かせて読んでいる。(補足---スマホやPCは映像などを視聴者は最初から見ているが、活字は様々な場面を想像しながら見ているということであろう) また、(書く人は文字を書いて表現することによって)その内容の主旨を工夫して伝えている。 ② ローカルメディは町造りのインフラである 地域の情報を発信することによって、地域起こしや活性化につながる。また、その地域を深く知ることもできる。私が、大村支局に2023年5月の着任以降、今年(2025年)2月9日までの大村のニュースは、事件、事故、行事なども含めて合計で620本の記事を書いた。そして、感じたことは、良い町には、頑張っている人が必ずいるということである。
新聞を読むコツ 普段どのように新聞を読むか ① 1面(表紙)から、順番に読む ② テレビ欄から、さかのぼって読む ③ まずは、お悔やみ欄を探す ④ 気まぐれで読んでいく 上記の①から④、いずれも全部正解である。自分が関心あるところ、読みたい記事から読んでいけば良いと思う。 紙面 1) 紙面(長崎新聞の紙面について) 一面は、国内外の重要ニュースもあるが、長崎新聞の場合、「長崎県内の一押し」記事も載せている。総合面は、政治、国の制度、国際的なニュースなどが多い。 情報面ではイベント、お悔やみ欄など。 <あと、経済面、地方版、スポーツ面、文化てん生活面、(特集面)、ふるさと総合面、社会面などあり> この紙面の中で「記者の眼」の記事もある。この内容は、記者間で交代で回ってくる。内容を探すのに苦労もあるが、事件・事故の記事に比べて、特徴的で独自で記事も書ける。 レイアウト (画像6参照) 新聞紙面のレイアウトは、視線が流れるようにしてある。(新聞は縦書きなので)見る時には、右端側から左側や左下側方向への視線が多い。そのことから、記事のレイアウト(配置)も、アタマ(頭)、カタ(肩)、ハラ(腹)とで構成・配置してある。 長崎新聞一面は、例えば、そのアタマ部に国内外のトップ記事、カタやハラ部には長崎県内重要記事とかの配置などである。このようなレイアウトは、ほぼ毎日の(今日、配布や掲示している)新聞も同じである。 カット (画像7を参照)、このカット(印刷物に入れる小さい挿絵。デジタル大辞泉より)は、(日常の記事と違う)特集あるいは連載の記事内容に付くものである。(補注:上野流の解釈で、特集、連載記事を知らせるロゴマークみたいな目印であろう) このような連載記事は、沢山ある。 定期コーナー 毎日ある(日常不断にある事柄、事件•事故など)の記事とは違う情報を、定期的に掲載している内容である。例えば「記者の目」などは、その時に担当した記者が通常とは違う内容を(何十日か前より)調べて書いているものである。(当然、各記者の記事内容は違っている) 質疑応答(講話についてのQ&A) 先の岩佐氏の講話の後、同氏と聴講者の間で、質疑応答があったので、その概要を次のQ&Aに書いている。なお、分かりやすくするために、上野の方で若干の補足や太文字にしたり、まとめ直しもしているので、あくまでも参考程度に閲覧願いたい。 Q1:新聞を読む習慣を付けるには、どうしたら良いか? A1:紙面は見出しだけても読みやすくなっているので、そこだけでも読み続け、そして気に入った記事は読んでいくことにすれば良いかと。 Q2:「読む時間なし」と言う人もいるが? A2:朝に時間無くて深読みしなくても、ゆっくり帰宅後に読むとか、一日のどこかで読む時間はあるのでは。 Q3:紙面に文字がいっぱいあるので。(抵抗感があるという意味と思われる)。 A3:見出しだけでも先に見るのは、どうか。記事のレイアウトは逆三角形なって重要記事は頭(先)に書いてある。内容については、先に(まとめて)書いてあるので、そのリード部分だけでも読むのは、どうか。 Q4: (会場で配布されている)この記事(箕島の内容)の情報などは、どこから入手しているのか? A4:ニュースソースは様々ある。今年は長崎空港開港50周年なので、箕島の旧島民の方の話しを聞いた。また、取り継ぎ先の情報協力は、ありがたいことだ。(補注:この情報入手の件は、後の全体討論でも書いている)
先の講話が一区切りした後、5人から6人位のグループに分かれた。そして、日頃読んでいる紙面について、各々の感想や意見を出し合った。(その発言は長崎新聞の記事が圧倒的に多かった) なお、意見の詳細は、省略するが、メモ書き風にすると次からの「」内であった。<上野注:『』内名称は長崎新聞の定例の囲み記事などである。( )内は分かりやすらために上野が補足した> 「一日2時間位かけて読んでいるかも」 「『水や空』は毎回注目している」 「日の出、日の入りの情報は良く見ている」「(川棚町の)石木ダム問題はボタンの掛け違いをしていることが改めて感じる」 「スポーツ面に興味あり。視力的にも良い紙面だ。県内力士の相撲記事も見たくなる」 「 県内ニュースが沢山あって良い」 「『みんな広場』は同じ人が載っている(補注:「頑張っておられる」との趣旨かな) 「共同通信社の情報も沢山あるが、(載せるのは)誰が判断するのか?」 記者の方の答え「(編集の)デスク判断だ」 「『記者の目』は面白いし、興味ある」 「記者の名前付き記事と、名前なし記事があるが?(その違いは?)」 ( 前同)「記者名付きは長崎新聞社で、名前なしは共同通信社などの記事である」 全体討論(質疑応答) 先のワークショップ終了後、全体討論(質疑応答)があった。主には、次からのQ &Aである。なお、分かりやすくするために上野の方で、太文字にしたり、まとめ直しをしている場合もある。
A1:(その動機は)大学の時にコラム欄を書いて自分で表現できること知り、県内、地元でも書き、学んだことを多くの方へ伝えたかったからだ。 Q2: (沢山ある中で)共同通信の記事を選択する判断は、誰がするのか? A2: (長崎新聞の場合)国際、全国の記事は、共同通信社からが多い。その選択は、管理職である。 Q3:新聞の、ここが良いぞみたいなところは? A3:署名入りで、推し(押し)か出来ることか。 Q4:県内ニュースで行事がある場合、その情報は、どこから入手するのか? A4:投げ込みと言って(市役所記者クラブなどへ)イベント主催団体から、その案内がある。また、記者の個人的な繋がりで、自ら情報入手する場合もある。 Q5:署名記事は、その記者100%の意見か? A5:一般な記事の場合、記者が書いて出した内容をデスクがチェックした後、記事になる。社論などは、縛りもあるが『記者の目』などは、自由である。 Q6:子ども達に新聞(紙面)作りの楽しみ方を教えるには、どうしたら良いか? A6:新聞に子ども達が触れる機会は少なくなって来ている。しかし、文字を書くこと自体は(いつの時代も)不変的である。子どもの時、先生から文章が褒められて、それから文字を書くのが好きになった人もいる。(補足:つまり、子ども達が紙面作りを楽しみとするため工夫が必要ということであろう) ----------・・・----------・・・----------・・・ <上野の感想> 注:下段の黄色枠線内は、私のもう一つのHP「上野ログハウス」の「聞いた言葉(もくじ)シリーズ」で沢山ある中の報道、情報、活字関係内容の一部の標題である。この内容ページからの引用も含めて、今回の「現役記者に聞く新聞の読み方のコツ」の講話や質疑応答などの感想を書きました。 当然、不備不足はじめ中には間違った内容もあるかもしれませんが、あくまでも参考程度に閲覧願います。なお、分かりやすく太文字や( )なども付けました 1) 上記の岩佐氏の講話や質疑応答を聞いて、改めて活字文化、書籍類、新聞やテレビなどの報道の大切さを痛感しました。 2) 特に、今、国内外で飛んでもないようなフェイクニュースや、詐欺まがい情報も日常普段に沢山ある中で、『真実を自分で探す時代』そのものとも思いました。 4) 上記 1)、 2)から官公庁や企業などが出す内容=発表報道よりも、やはり報道は自ら地道に調べて、まとめた調査報道の方が、訴える力もあるし、購読者や視聴者が関心、評価されるのではないかとも考えました。つまり、ITやAI技術が進んでも、その技術だけで現場取材や、それに基づくニュース(記事)ができるものではないから、やはり、『メディアの取材現場は変わらないし、役割が強くなる』とも思われます。 4) これらは、何も報道関係だけでなく、私のような素人の郷土史愛好家も同じでしょう。何かの論文や書籍を引用して机上で書くだけではダメで、やはり自ら七つ道具を持って現地調査、実物調べが不可欠と言えます。このことは文化面でも古くから『古人の跡を求めず、古人の求めたる所を求めよ』との言葉ある通りです。 5) ただし、全国の状況は、新聞ならば減紙、テレビならば視聴者やスポンサー離れ、書籍類ならば本屋や出版数の減少ありとも聞いてもいます。 6) 私は、この報道や書籍類の今後の展開について、想像さえもできません。ただ、『この世の中で最も重要なものは情報だ』との言葉もあります。人が情報を求め、また、その情報が事実・真実を入手、確認、分析、整理などをする限り、新聞を始めとする各報道や書籍類は、将来も大いに参考になり続けるような気がします。 最後になりましたが、講師の岩佐氏をはじめ主催者、参加者全員の皆様、お疲れ様でした。 |
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主な関係ページ:「上野ログハウス」「聞いた言葉(もくじ)シリーズ」の報道、情報、活字関係内容の標題 「第68回目、『真実を自分で探す時代』」 「第148回目、『メディアの取材現場は変わらないし、役割が強くなる』」 「第222回目、『何事も大元までたどらないと大事なことを見落とすものだ』」 「第221回目、『大本営発表』」 「第215回目、『新聞記事は歴史書の最初の草稿だ』」 「第208回目、『本は心の栄養』」 「第188回目、『この世の中で最も重要なものは情報だ』」 「第83回目、『全ての人をいつまでもだまし続けることは出来ない。』」 「第212回目、『報道が仕えるべきは国民だ。統治者ではない。』」 「第191回目、『コンテンツ勝負(知りたい情報や内容の勝負)』」 「第196回目、『古人の跡を求めず、古人の求めたる所を求めよ』」 「第204回目、『電波は国民共有の財産』」 「第65回目、『記憶は一代、記録は末代』」 |
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(初回掲載日:2025年2月10日、第2次掲載日:2月18日、第3次掲載日:3月9日、第4次掲載日:4月27日、第5次掲載日:5月1日、第6次掲載日:5月10日、第7次掲載日:5月16日、第8次掲載日: 月 日、) |