最新情報 行事 福重紹介 仏の里 福小 あゆみ 名所旧跡 写真集 各町から 伝統芸能 産業 リンク
福重小の紹介

福重小学校6年生による手作り和紙
世界にひとつだけの卒業証書

2005年卒、6年生全員による手作り卒業証書
一人ひとりの手作業

 来る2005年3月17日、福重小学校の6年生は、卒業式を迎えます。これまで1年生として入学して以来この6年間で、たくさんのことを勉強されたと思います。

 また、修学旅行、運動会、遠足などを始め同級生の皆さんで、大いに楽しまれた思い出も多いことでしょう。福重小学校では、まわりの環境の関係から、田植え、烏骨鶏の飼育、花壇作りや花の栽培など、市街地の学校で体験できないことも例年おこなってきています。(この和紙の手作りは、今年度で2年目)

 今回、先生方や生徒さんたち自らの手作り和紙の卒業証書について話しを聞く機会がありました。はじめに、この話しを聞く機会を作って下さった校長先生、熱心にご協力頂いた6年生や担任の先生へ、このページをお借りしまして感謝申し上げます。

挟みを使いカジノキ取り
お母さんやお父さん達も奮闘中
まずは、カジノキ取りと皮はぎ
 手作り和紙の原料は、こうぞ、みつまた、その他ありますが、ここ福重地域ではカジノキが主原料です。2004年7月1日、6年生とそのお母さんお父さん方で、弥勒寺町のシュシュから少し行った所で取ったそうです。

 1枚の卒業証書用の材料用には、一人で数キログラムのカジノキの皮が必要です。紙スキ時の失敗も含めて、原料を用意するため、カジノキを充分量取るのはなかなか暑い中、大変だったようです。

 慣れないノコギリ、高枝切りバサミを使っての作業となりました。このことの様子が学級新聞で次のように紹介されています。「」内が子どもたちの感想文です。一部、前・中・後略をしています。次項以降も同様です。

 「みんなで力を合わせてがんばりました。ノコギリで枝を切る時にはきつかったけど、皮はぎは簡単にできました。でも、1、2キログラムにはなかなかなりませんでした。でも一生けん命がんばったら、やっと、1、2キログラムになりました。とても、うれしかったです」

 「暑かったけど、楽しかったです。初めのうちは、皮むくのが大変だったので、後からは、けっこうむけました」 、 「お父さんが来るまでは五班の子どもチームは、とてもきつかったです」 、 「ぼくは葉をとってから、皮をむくようにしました。皮をむいていたら、だんだん、つめに木の皮が入ったり痛くなったりしました。(中略)カジノキ採りは、きつかったです。でも、楽しかったです」

紙スキに挑戦
紙スキは平均しているかな
 この文章、なんの補足も必要のないくらい、暑い中がんばった様子が伝わってきます。最後に、「シュシュでアイスをおごってくれました。コーヒー味を食べました。とっても、おいしかった」ですと。


カジノキ洗い
 皮をむいたカジノキは次に、洗って余分なゴミなどを捨て、原料になる分だけを残します。この時、繊維を流さないようにするのがコツで、下記の感想はそのことが良く分ります。

 「私は、最初に、和紙のもとをもらって(うわっ、黒い)とおもいました。そして、あらっていたら、だんだん色がおちてきて、今は、もうほぼ白くなっています。でも、和紙のもとが、ちょっと少なかったので、先生にそのことを言いました。すると○○くんが「オレンと、やる!」と言ってくれました。それをもらっていると、またまた、白っぽくなってきました」

 「カジノキを洗うのは、大変です。せんいを流さないようにしたけど、すこしずつ、せんいが流れていきました。でも、がんばってます」


和紙すき 「世界に一つだけの卒業証書をずっとずっと大事にします」
 2004年10月28日、この日は、和紙すき本番の日です。粉々に砕いた繊維を紙の大きさ平均にするのが、なかなか”職人技”に近い芸当のようです。また、両足で踏ん張りながら、両手や全体を使いながら、バランスを取りながらの慣れない作業でした。

 紙すきのコツは、1回目も大事ですが、次の2度すきが、特に重要ポイントのようで、これに失敗すると、もう一回最初からとなるようです。中には、5回くらい紙すきをした子もいました。

 「ぼくは、証書をつくるのに何回もやりました。でも、まだ、できませんでした。先生に教えてもらい何度か目の正直で、できました。とても楽しく、笑いながらしました。いい証書になりそうです」

 「私は、昨日の和紙すきで、二番目に二度すきが成功しました。○○ちゃんも成功していたので、いっしょにその後の作業をすることになりました。その後、板に紙をつけて、先生に仕上げをしてもらって、和紙ができました。うれしかったです」

できたよ!
 「わたしは、みんなのを見ていたらかんたんかなあと思いました。でも、いざやってみると、二度すきが難しくて二回目で、できました。先生に見せに行ったら「うまい!」と言われました。うれしかったです。そして、こけないように、しんちょうに持っていきました。その後、予備をすいた時、一人で一枚つくりました。一人で、できて、よかったです。世界に一つだけの卒業証書をずっとずっと大事にします」


一枚いちまい和紙の裏に名前
 6年生一人ひとり自らカジノキ取りから始まり紙すきまでおこなうと、後は自然乾燥を待つだけです。乾燥すると、卒業証書に名前を書く時、間違わないようにと、鉛筆で裏に各自の名前が書いてありました。

 あと、毛筆の達筆な教頭先生が、2005年3月卒業生全員の名前を書き入れて、校長先生が印鑑を押せば、世界に一つだけの卒業証書が全部完成です。3月17日予定の卒業式が目に浮かびます。


本物和紙の重み
 私は、この紙を見せて頂き、手でスルスルと触りました。和紙独特の手触りがあり、厚みもありました。また、紙なのに何かしら、ずっしり来るものがありました。

 この紙はホンモノの良さと言うだけでなく、やはり、一番は子どもたち、そして手助けされた先生、お母さんやお父さんたちの今までの努力や苦労が一杯こもった重みがあるのだろうなあと思いました。

 また、さらに、私の調べでは江戸時代、大村藩によって編纂された大村郷村記によると、この地域=福重村には14軒の製紙業者がありました。その後、福重ではなくなりましたが、戦後しばらくまでは大村市内で製紙業はおこなわれ、この福重からも農家の方が、原料のカジノキなどを荷車や肩に担いで運ばれていました。

 その最後の製紙業も絶えて相当期間なりますが、現在、この福重小学校を初め松原・黒木小学校などでも、子どもたちによる和紙作りがおこなわれているようです。

 このようなことから、古来よりこの福重などでおこなわれていた製糸業について、小学生の動きを通して、先人たちの思いも垣間見る感じがしました。(掲載日:2005年3月1日)

追記:2005年3月17日に『2004年度の卒業式』が開催され、卒業生にこの「世界にひとつだけの卒業証書」が授与されました。その時の写真は、ここからご覧下さい。

福重小の紹介
最新情報 行事 福重紹介 仏の里 福小 あゆみ 名所旧跡 写真集 各町から 伝統芸能 産業 リンク