最新情報 行事 福重紹介 仏の里 福小 あゆみ 名所旧跡 写真集 各町から 伝統芸能 産業 リンク
大村の島シリーズ そうけ島(そうけじま)
 (1)名称  そうけ島(そうけじま) <島名の由来は台所用品や農具の「そうけ」(竹ザル・竹カゴ)からと推測>
 (2)別名  ソウケ嶋(大村藩領絵図)、そふけ嶋 (大村郷村記) 
 (3)所在地  長崎県大村市箕島町(長崎空港島)、空港建設で埋め立てられた。
 (4)歴史など  江戸時代作成の大村藩領絵図や(大村)郷村記に記述。
 (5)特徴、他  島には竹林もあった。
 (6)補足  長崎空港建設前は個人所有の島だった。
そうけ島(他の島との関係は下記写真参照)

そうけ島(そうけじま)
 そうけ島は、長崎空港建設前まで大村湾内の箕島近くで赤島がろう島とともにして存在していました。この島は、小さいながらも大村市街地から遠望した場合、箕島より手前側にあったため、けっこう見えていました。

  この島名の由来ですが、「そうけ」(方言?)と呼ばれている台所用品あるいは農具として使われる竹カゴ・竹ザルがあります。これは、竹で頑丈に編んであって半丸状をしています。作り手や使用目的で少し違いもありますが、簡単に言えば「半丸(半球)形状の竹カゴ・竹ザル」です。今でも、そうけは竹製品を好まれる方によっては使用されていると思います。たぶんに、この島の形状が、そうけを海に伏せたような形に見えたため、この島名になったと思われます。

 ここから少し脱線したことを書きますが、そうけについて私も実家にいた学生の頃は、親の手伝いがてら農具や台所用品として使ったことがありました。竹でガッチリ編んであったので頑丈そのもので、重量物を入れて運んでも強かったです。あと、そうけを竹で編む時、最初はなんとはなしに分かりますが、最後どうやって丸い形に整えて、あのように綺麗で頑丈になるのか、今思えば竹製品作りの職人さんの巧みな技そのものだなあと推測もしています。

 そうけ島の形成は、箕島紹介ページと同内容で多良岳(たらだけ)が噴火(約100万年前から開始、約25万年前頃に終了と言われている)盛んな頃、近くにある臼島(うすしま)とともに東西に走る断層線に沿って海から隆起してできた箕島(火成岩の島)と同時にできたと思われます。

箕島(みしま)そうけ島赤島(あかしま)がろう島など
そうけ島は、写真のほぼ中央部 (岩永氏所蔵写真より)

 後で書きます(大村)郷村記にもある通り、ここには竹林があったり松の木も生えていました。1972(昭和47)年1月から長崎空港の建設が始まりました。そして、3年余りの工事を経て1975(昭和50)年5月1日に現在の長崎空港が開港しました。同時に、箕島赤島がろう島と共に島としては存在しなくなりました。

大村郷村記のそふけ嶋の記述について
 大村郷村記(藤野保編)には、そふけ嶋のことが、第一巻、89ページに記述されています。原文は、縦書きの旧漢字体などです。念のため、できるだけ原文は生かしたいのですが、ホームページ表記できない文字もあるため、それらと同じような漢字に上野の方で変換しています。

 なお、見やすくするため太文字に変え、さらに改行したり、()を付けたり、文章の区切りと思えるところに空白(スペース)も入れています。ですから、あくまでも下記はご参考程度にご覧願います。引用をされる場合は原本から必ずお願いします。「 」内の太文字が、大村郷村記からの引用です。 なお、原文では2行になっている部分もありますので( )の記号も補足で入れています。

「一 そふけ嶋
 周廻武町九間半、嶋中一圓林
(用山五畝、此林の女竹矢柄用ゆるなり) なり 頂上に古松壹株あり 」

現代語訳
 上記の(大村)郷村記を現代風に口語訳すると次の< >の通りと思われます。ただし、念のため、正式なものではなく、あくまでも上野の便宜上の素人訳ですから間違いあるかもしれませんので、ご注意願います。 ( )内は上野の解釈上の補足などです。

 そうけ島(そうけじま)
   (島の周囲は) 約230m。島の全域が林である。その山の広さは496平方メートルで、この林の女竹は矢柄(やがら、注1)に用いられた。(島の)頂上に古い松が一本(一株)ある。 >

注1:矢の幹。鏃(やじり)と羽根を除いた部分。普通は篠竹(しのだけ)で作る。(国語辞典の大辞泉より)

上野の補足:江戸時代に編纂された(大村)郷村記の記述通りなら(概要)「ここの竹は弓矢の幹に使用された」とわざわざ書いてあるので、私の推測ながら良質な竹だったのかもしれません。あと、そうけ島は、岩永氏にお聞きしたところ「長崎空港工事前までは、個人所有の島だった」とのことでした。 (ページ完了)

大村の島シリーズ:臼島鹿島龍神島寺島盗人島箕島赤島がろう島そうけ島弁天島

(初回原稿掲載:2011年8月1日、第2次掲載:2011年8月3日)

『大村の島』シリーズのもくじページに戻る

参考文献、書籍一覧表 「大村村の歴史」もくじ

最新情報 行事 福重紹介 仏の里 福小 あゆみ 名所旧跡 写真集 各町から 伝統芸能 産業 リンク