日時:2013年6月19日13時20分〜 14時35分 場所:大村市桜馬場2丁目、桜ヶ原中学校・体育館 、 主催:桜ヶ原中学校 、 参加者数:約270名(中学1年生) 、 講師:寿古町の増元さん
主な講演内容:(下記は講演資料の写しである。実際の講演会は詳細で、なおかつ写真などのスライド数十枚をスクリーンに映写しながらの話しだった。上記写真中央手前は講演中の増元さん、後方全体は桜ヶ原中学校1年生の皆さん)
1)戦争に明けくれる日本〜日中戦争から太平洋戦争へ
*日中戦争 昭和12年(1937)〜 → 中国の抵抗で行き詰まり → 南進策 → アメリカと対立 → 太平洋戦争
*太平洋戦争 昭和16年〜昭和20年(1941〜1945)
・初期の日本軍優勢 → 東南アジア・南太平洋の島々を占領 → アメリカの反攻=工業力・物量の差 → 反撃され、本土空襲・原爆、敗戦
2)戦時中の大村・=軍事都市
*陸軍歩兵第46連隊 明治30年(1897) 現大村部隊の場所
*大村海軍航空隊 大正11年(1922)
・今津、大川田(現在の富の原)に開設 → 農地を買い上げ、民家はすべて立ち退かせる
・飛行場 1100m×1200m (後、1600×1400)、芝生
・機種 艦上戦闘機、陸上戦闘機、練習機(通称赤トンボ)=数百機
・草薙部隊 昭和19年8月 空襲に備えて戦闘機部隊を増設 → 郡中は、戦後、その兵舎を利用して開校
*世界初の渡洋爆撃 → 昭和12年8月、大村航空隊から中国の南京を爆撃 → 大村の名が日本全国に知られる
*第21海軍航空廠
・昭和16年(1941)10月1日開廠 → 太平洋戦争の開戦2か月前 古賀島・森園・協和町・松山=面積65万坪、工場180棟、鉄道引き込み
→ 軍用飛行機の製造・修理、飛行機用工ンジンの製造・修理
→ 工員35000人 → 東洋一のマンモス飛行機製造工場
・工員住宅・寄宿舎 → 古町・水田・諏訪・池田・杭出津・植松
・大村の人口倍増
昭和15年33,390人 → 昭和17年39,572人(市制施行)
→ 昭和18年67,728人 → 昭和20年(終戦)44,292人(工員の帰郷)
3)大村大空襲
*空襲 米軍機による日本本土爆撃、B29(超大型爆撃機)による爆撃
→ 爆弾・焼夷弾を高空から投下 → 都市部を無差別爆撃、死者50万人
*大村空襲
・主なものだけで18回、19年末から終戦までの9か月間に数十回 → 警戒警報・空襲警報のサイレンはほとんど毎日鳴らされた。
・大村が狙われた理由 → 海軍航空廠・航空隊のある軍事拠点 ←戦争の勝敗は空軍力で決まる
・長崎市の空襲は原爆を除き5回、佐世保は4回
*大村大空襲 昭和19年(1944)10月25日
・B29爆撃機78機、午前9時55分から約2時間航空廠を波状攻撃(爆弾
・焼夷弾) ・航空廠の建物半分を破壊、死者272人(内、動員学徒70人)、負傷者多数 → その後もたびたび空襲され工場疎開 → 飛行機生産不可能
4)私の戦争体験
*太平洋戦争(昭和16年12月8日 〜 昭和20年8月15日)
・福重小学校(当時は国民学校)の2年生〜6年生の時
・戦時中の福重には多くの軍事施設 福重飛行場、高射砲陣地(皆同、今富)、草薙部隊、地下指揮所
・激しい空襲(爆弾・焼夷弾、戦闘機の機銃掃射) → 防空壕に入る毎日、2回の転居、福重小学校の破損、福重小学校の立ち退き(校舎なし)、 疎開授業、機銃掃射(小2児童、銃撃されて死亡)
・6年1学期(昭和20年)通知表 → 成績欄は空欄
5)戦時下の生活
*戦時中の日本
・「軍国主義」「天皇主権」「基本的人権なし」
・農業中心の貧しい暮らし → 農業用機械・車・家電・電話・水道なし
→ 子どもの家事・家業手伝い多し
・物資不足 → 戦争用品優先。工業地帯の空襲、輸入不可能、働き手不足 → 「ぜいたくは敵だ!」、「欲しがりません、勝つまでは!」
・労働力不足 → 学徒動員、徴用工、女子挺身隊、朝鮮人の強制連行 →中学生・女学生を軍需工場で働かせる → 大村航空廠に8000人
・子供も女子も戦闘訓練 → 米軍の日本本士上陸作戦への備え
→ 日本は国民が降伏することを認めない! → 玉砕、自決
→ 「国民は最後の一人まで戦う」「戦争は国民がする」
→ 女・子供にも「白兵戦技」=竹やり訓練、・手榴弾投てき、対戦車自爆訓練
6)終戦
*原爆・ソ連の参戦 → 日本の降伏 昭和20年8月15日
・航空廠廃止 → 工員帰郷、航空廠跡 → 官庁・放小・市民病院・中小工場・商店
・航空隊跡 → 米軍による占領 → 返還交渉=原口富一さん → 返還、開墾=農地
→ 富小・住宅地・工業用地 原口富一さんの名前から → 「富の原」
*日本人の死者310万人(内民間人80万人)、
・原爆による死者広島約14万人、長崎約7万人、東京大空襲死者83793人
おわりに
*戦争は弱い者(子ども・女性)を犠牲にする。 → 戦災孤児 12万人
*戦争は人間性を破壊する → 戦争は殺し合い、壊し合い → たくさん殺した者がほめられる、自慢する
・戦争に関するルールはあっても守られない → 原爆・無差別爆撃
戦争はつらく、惨めで、悲しいものです。 日本は戦争に負けて「もう二度と戦争はしません」と誓いました。戦争を知らない君たちの時代になっても「絶対に戦争はしないんだ」という気持ちを強く持ち続けてください。 (終わり)
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