福重の名所旧跡や地形
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御手水の滝(裏見の滝)の岩壁(断崖絶壁) (場所:重井田町、立福寺町) |
(写真1) 滝西側の大きな岩壁 (御手水の滝は右側) | (写真2) 滝東側の大きな岩壁 (御手水の滝は左側) |
概要紹介 この御手水の滝(裏見の滝)の岩壁(断崖絶壁)の場所は、長崎県大村市重井田町と立福寺町にまたがっています。その大きさは、上野の目測ながら高さ約40m、横幅約100mありそうです。この巨大な岩場は、通称の「裏見の滝」が有名ですが、正式名称の御手水の滝(おちょうずのたき、落差約30m)を中心に東西に広がっています。
<注:上記(写真1)は、その滝を右側にして主に西側(左側)で、(写真2)は、その滝を左側にして主に東側(右側)を撮ったものです> この断崖絶壁(だんがいぜっぺき)の一枚岩は、多良山系の火山から流れ出した溶岩が、この地で固まったものと推定されます。 長崎県内にも、この種の岩場は、いくつかありますし、大村市内でも例えば山田の滝渓谷の両岸の岩場(高さ約25m、長さ約80m)など見られます。しかし、周囲が「裏見の滝しゃくなげ公園祭り」など、観光地になっていて、年間数万人の方が訪れる場所にある巨大な断崖絶壁の岩場は、長崎県内では珍しい方だと思われます。 この周辺は、春のシャクナゲ祭り期間中けでなく、新緑の時季に、涼しさを求めて夏季に、あるいは秋の紅葉シーズンなど、春夏秋冬とも楽しめる場所です。 江戸時代の(大村)郷村記にも紹介 この御手水の滝(裏見の滝)の岩壁(断崖絶壁)は、表現こそ違えど、江戸時代、大村藩によって編纂された郷村記(大村郷村記)にも紹介されています。それは、『郡村之内 福重村』の『滝之事』の項に『御手水の滝』に書いてあります。念のため、この内容の絶壁(岩壁)のことだけを書けば前後が分かりにくいので、あえて『御手水の滝』全文を下記<>内に書いています。しかし、絶壁(岩壁)の記述は、下記の太文字だけです。(現代語訳も同様です) なお、見やすくするために文章の区切りと思われる箇所に空白(スペース)を挿入したり、改行もしています。 < 御手水の滝 野岳大堤下拂川と云処にあり 此処近村の勝地にて左右は深谷 末は今富村椎の木淵に流れ出 郡川に落合なり 崖下に観音堂あり 神体祭礼等の事は都て野岳郷より支配するなり 鳥居より拝殿まて弐町三拾間 此間険阻にて 九曲リあり 拝殿より上宮まて弐拾間 石壇あり 此谷東北の方 屏風を立たるか如き一面の絶壁にて、高サ拾七間余 横四拾間余の大岩なり 乃堤下より洩る処の水爰に落来り巌角にあたり砕て雨の沛然たるか如し 夕陽是に映し虹睨顕れ大に趣向あり 崖下径あり通行して裏より見る故、世俗うら見の瀧と云 三月三日観音参詣の人多し >
上記の大村郷村記の現代語訳を下記に青色で書きます。絶壁(岩壁)のと関係あるのは、青色太文字部分です。ただし、私の素人訳のため、間違いもあるかもしれませんので、ご注意願います。 ( )内は補足や注釈です。 御手水の滝 野岳大堤の下にある拂川(はらいがわ)と言う所にある。ここは近くの村の景勝地で左右は深い谷間となっていて、先の方では今富村の椎の木淵(しいのきぶち)と言うところへ流れ出て、郡川と合流する。崖下(がけした)には、観音堂がある。神体祭礼などは、野岳郷でとりおこなっている。鳥居より拝殿まての長さは、約119mである。 この間は急な坂で九つの曲がり道になっている。拝殿より上宮(最も高い所にある神社)までは、約40mあって、石段になっている。 この谷の北東方向には屏風(びょうぶ)を立てたような一面の絶壁になっていて、高さが、約34m、横約80mあまりの大きい岩である。野岳大堤から流れてきた水は、ここで落下して岩角(いわかど)に当って砕け、豪雨のようである。 夕日がここに映えて虹が現れ、大いにおもむきがある。崖下に道があって、裏lからも見れるところから通称「うら見の瀧」とも云っている。3月3日の観音様の日には、参詣客が多い。 ・大村郷村記の補足解説 上記の(大村)郷村記には現代語訳で、(絶壁は)「高さ34m、横約80m」となっています。御手水の滝(裏見の滝)の落差は、測量した結果、約30mです。 しかし、滝の両岸側、特に東西両端の岩場の高さは、もっと高く目測ながら約40mありそうです。また、この巨大な断崖絶壁の横幅は、どこから、どこまでが岩場なのか、木が茂っているため正確に見れません。上野の目測では、先の(大村)郷村記の「横約80m」よりも、もっと長く100m近く横幅はありそうです。
全国には、巨岩あるいは断崖絶壁の岩壁だけでも、観光客に人気のスポットが沢山あります。また、岩壁などは、例えば花が咲くシーズンのみとか、何かの祭り期間中のみとかの制限もありません。さらに言えば、滝などともに近景も遠景も絵になると言いますか、写真写りにも最適な被写体となります。 あと、この断崖絶壁は火山の溶岩が流れ下ってきて、この地で止まったと推測される場所でもあります。その意味で、土地の形成を知るための大きな材料にもなろうかとも思えます。 このように巨岩あるいは断崖絶壁の岩壁は、シャクナゲや桜みたいな派手さはありません。むしろ、その花々、新緑や紅葉などの引き立て役に徹しているようにも思えます。しかし、咲く期間が短い花と違って、岩壁は春夏秋冬、自然の織りなす様々な景色を長期間見せてくれる良い観光資源とも言えます。 補足 (この原稿は、しばらく、お待ち下さい) (初回掲載日:2018年6月17日、第二次掲載日:6月18日、第三次掲載日:6月19日、第四次掲載日:6月20日、第五次掲載日:7月4日、第六次掲載日: 月 日) |
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