<補足説明>
この野田平原の馬頭観音のレリーフは、非常に素晴らしいものである。<上記写真参照、左側(南側)面から見たもの> 特に腕や足部分は他の馬頭観音にない造りだ。また、通常、石像本体と蓮華座は同じ石材で造られるが、本像は、別々の石材で分けて制作されている。このように二つに分けて造り、後で、ほぞ穴に入れて結合させた馬頭観音は珍しいと思われる。
本像の前方に突き出た形状はレリーフと言うより、一個の別の単体で造られたみたいにも見え、他の馬頭観音にない非常に特徴のある造りになっている。
また、胡坐(あぐら)を組んだ形に似ていて、このような形状は、これまた他にない珍しい像である。上部の前方に突き出た光背の角度も深い。蓮華座の基本形状は、四角形である。
私の個人的な感想や評価ながら、一言でいうなら「良くぞ、普通の石材で、これだけ芸の細かい造りができたなあ」と思う。細部のパーツを見ると、作り方しだいではポッキと折れそうなくらい繊細だ。この馬頭観音は、正面からだけでなく側面からも見る価値がある。
なお、「大村市内にある馬頭観音の全体数は、60〜70体ある」との説もあり、私の調査はマダマダ続いている。しかし、仮に全部の調査が終了したとしても、この野田平原の馬頭観音の姿形は、たぶんにベスト3に入るのではないだろうか。
あと、馬頭観音は、一般に村や町(集落)の外れで道路脇に建立されたと言われている。野田平原の馬頭観音のある場所は、旧道の脇にある。その意味で、この馬頭観音のある所は、先の一般論と同種のことと思われる。ただし、最初から、この場所だったか、どうかという点について、私は調査していない。
この馬頭観音は、現在でも祀られていて、保存状態は極めて良い。
(初回掲載日:2014年4月18日、第二次掲載日:2014年11月9日 )
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