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大村の馬頭観音

梶ノ尾の馬頭観音その1
梶ノ尾の馬頭観音その1

梶ノ尾の馬頭観音その1データ

 (1)石仏名称 梶ノ尾の馬頭観音その1(かじのお の ばとうかんのん その1)
 (2)所在地 大村市松原一丁目 (大きなそのもの)
 (3)本体の大きさ (くすのき)目算で高さ約15m、幹まわり約8.1m
 (4)土台石の大きさ -
 (5)制作年代 不明である
 (6)主な特徴 (左側写真の)楠自体が馬頭観音である
 (7)特徴点の補足 -
 (8)感想、その他 -

注:「梶ノ尾の馬頭観音その1、その2、その3」の名称は、同じ場所にあるため上野が分かりやすくするために便宜上付けた名称である。下記(大村)郷村記に、この楠のことが馬頭観音であることが記述されている。

(大村)郷村記:
(次の太文字)  梶の尾 一馬頭観音 神木楠、廻り壱丈餘 例祭九月十九日 勧請不知 所中祭之 地形貳間ニ三間程

 ・上記の現代語訳:(次の「」内。ただし素人訳なので、ご参考程度に) 「梶の尾 馬頭観音 ご神木の楠があり周囲は3m余り。例祭は9月19日である。例祭に来てもらっている所(寺か神社)は不明である。この周辺で祀っている。地形(じぎょう、建築物の敷地の大きさ)は、(奥行き)3.6m、(横幅)3.6〜5.4mほどである」

<補足説明>
 国道34号線にある長崎県営バス停・野岳入口周辺からの方角ならば、東側方向に梶ノ尾公民館(松原1丁目)がある。その公民館方向に行く前から、目算で高さ約15m、幹まわり約8.1mの大きな楠(くすのき)が見えている。この木が、梶ノ尾の馬頭観音その1である。

  さらに、公民館から約70m東へ行くと、他の2体の馬頭観音含めて間近かに見学できる。(右側写真参照、下記に写真説明あり) なお、上記データ表にも書いているが、同じ場所に現在、馬頭観音が3体あるため、分かりやすくするため上野は便宜上、「梶ノ尾の馬頭観音その1、その2、その3」と呼称している。

右側の写真説明
 写真中央奥側に見える大きなが、梶ノ尾の馬頭観音その1である。その木の前にある石像で、右側(東側)が「梶ノ尾の馬頭観音その2」で、その左側(西側) が「梶ノ尾の馬頭観音その3」である。なお、「梶ノ尾の馬頭観音その2」は最初からここにあったものではなく、元は松原八幡神社周辺にあった。

 また、「梶ノ尾の馬頭観音その3」も同様に、ここに移設される前は、松原本町(松原出張所から西側へ30m行った民家敷地内)にあったものである。このように様々な経過は別としても、現在同じ場所で馬頭観音3体が同時に祀られている場所は、大村市内では、この梶ノ尾だけと思われる。

 あと、ご参考までに、馬頭観音2体の石像前で、両側に見えるのが、2基の石灯籠で、さらにその手前側が一段低くなっていて道路になる。また、左端が史跡説明板と建物である。

史跡説明板と(大村)郷村記の記述
 右上側写真の左端に松原宿活性化協議会で立てられている史跡説明板(案内板)がある。ここには、次の「」内の内容が書いてある。

 「梶ノ尾の馬頭観音石像と大楠 野岳の合戦時、落武者の一人がここまで来て亡くなったが、この地に馬を埋めた。地元の方が供養の為、馬頭観音を祀り、楠を植えたのではないかという。楠の周囲は8.1mあり、観音像の近くの農家が祀っておられる。例祭は十二月十九日。」

 上段のデータ表に、江戸時代に編さんされた(大村)郷村記と現代語訳を書いている。その中で、史跡説明板ほどは詳細に書いていないが、現代語訳で「梶の尾 馬頭観音 ご神木の楠があり」との記述がある。

 この「ご神木の楠があり」との表現は、上記の史跡説明板にある地域伝承と同じであり、戦国時代か、その後かは正確には分からないが、この地に楠を植え、そして長年、ご神木や馬頭観音として地元の方が祀られてきたものであろう。なお、史跡説明板にある標題の「石像」は、昭和36(1961)年10月に松原八幡神社周辺から現在地に移設されたものであるから当然、江戸時代にはなかった。

 あと、少し注目すべき点として、江戸時代には既に楠は、「周囲は3m余り」になっていたということである。現在の史跡説明板には「楠の周囲は8.1mあり」となっているので、その当時からも相当成長したことが分かる。(大村)郷村記は約180年間かけて編さんされているので、幹回りを計測した年月が分からないが、当時の数値である「周囲は3m余り」でも、けっして小さな木ではなかったことが分かる。

 いずれにして、この梶ノ尾の馬頭観音その1(梶ノ尾の馬頭観音その2、その3含めて)は、国道34号線にある長崎県営バス停・野岳入口周辺から直線で270m位の所にあるので、どなたでも見学できると思われる。

(初回掲載日:2014年9月1日、第二次掲載日:2014年9月2日、第3次掲載日:2014年9月3日)

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