大村の史跡説明板・案内板シリーズ | 野田古墳群と天井石 |
史跡説明板写真周辺の説明
しかし、尾根伝いの一番高所にあった先の野田古墳は、重機が登ることができず、手作業で開墾を続けていたところ、壊されることなく発見、発掘できたということです。念のため、上野は、まだ当時、福重小学校の児童でしたが、父母も一緒に開墾や発掘作業をしていた関係上、私も白黒写真に写っていますし、この壊されずに残った野田古墳のことは、今なお鮮明に覚えています。 そして、この野田古墳は、九州大学の教授によって調査され、古墳の図面や須恵器の土器の計測がおこなわました。その結果報告が、<長崎県埋蔵文化財調査集報 V長崎県文化財調査報告書第50集>としてまとめられました。詳細を知りたい方は、この報告書か、もしくは次の「野田古墳」紹介ページを参照願います。その記述の一部のみを次の<>内に書いておきます。
ここまでには、いわゆる三角持送り状に使用した石材は認められず、奥壁上部の石が石室中央部に向けて送り出されており、ドーム状の天井を構築していたらしいことが窺える。東側壁は2枚の平らな石を横位置に立てて腰石としているが、これより上部は全て欠失している。西側壁は長さ1.9m以上の石材を、やはり横位置に立てて腰石としているが、これも上部を失っている。 玄門部は,刺則・西側ともに厚さO.2〜O.3mの石材を立て,いずれもわずかに羨道側に先端を開いた形をとり,西側に傾いている。玄門の間は約O.5mあり,両側の石材とも頂点をほぼ同じ高さにそろえているところから,この上に天井石を架した可能性もある。 羨道は東・西側とも1枚の石材を残し,上部は失っている。幅は1.4mほどで,玄門と同じく耐則石とも西側に傾いている。刺則壁では,この石の外側に,石材を立てて使用しているが,当初からのものかどうか若干の疑いが残る。石材の質は玄武岩である。 (後略) > ただし、この残っていた古墳も1986年の高速道路工事時に、他の場所へ移設されることもなく、壊されてしまいました。・あと、1986年の高速道路工事の時にも2基の古墳が出土 先の野田古墳が出土してから約20年後に高速道路・長崎自動車道の工事がありました。この周辺の詳細で具体的な工事日程までは不明ですが、1986(昭和61)年に発掘調査が長崎県教育委員会によっておこなわれています。このことの補足で地元の話しとして、次の「」内があります。 「(野田町の高速道路工事の場所について) 発掘場所は、当初、発掘しやすい水田周辺だった、そして、小高いミカン畑にあった野田古墳周辺はブルドーザなどの重機が工事中に、新たに2基の古墳が壊された状態で見つかった」
野田古墳群は、このように1962(昭和37)年頃の山林をミカン畑に開墾する時に(最低)3基、そして、高速道路工事のあった1986(昭和61)年頃に新たに2基の古墳が見つかり、最低でも合計5基の古墳群だったということです。大村市内にも、例えば黄金山古墳を始め玖島崎古墳群、竹松の鬼の穴古墳や、その他も含めれば沢山あります。 しかし、最低でも5基の古墳がまとまって、ほぼ同じ場所周辺にあった野田古墳群は、けっこう珍しいことでした。ただし、先に述べた通り、1基だけ残っていた野田古墳も移設されることなく、全て壊されています。今は、野田古墳紹介ページに写真掲載中の須恵器の土器や発掘当時の古写真と、このページ掲載の(写真1、2、4)に写っている「野田古墳の天井石を農道開設記念碑に再利用された石だけが、当時の様子を今に伝えています。 なお、この古墳天井石についての詳細は、「野田古墳の天井石(農道開設記念碑)」ページから参照願います。あと、ここからは、ご参考までにということで、この野田古墳群と天井石の史跡説明板ある場所は、(写真2)でもお分かりの通り、遠くは西彼杵半島、大村湾、長崎空港、竹松地区の市街地、近くは今富町の平野部が一望できる見晴らし抜群の所です。 史跡説明板の内容
この野田古墳群は昭和三七(一九六二)年にミカン畑の開墾時に三基が発見されたと伝わる。うち一基は高所にあり、重機が使用できず破壊を免れていたが、昭和六一(一九八六)年の長崎自動車道建設時の発掘調査で新たに発見された二基とともに失われている。 現在は一基も現地に残っていないが、発見当時の写真や出土品が往時の様子を今に伝えている。(下の写真は古墳があった位置を想定復元したもの)九州大学の調査や長崎自動車道建設時に県教育委員会による調査から、古墳群は七世紀前半から後半にかけて造られたものとされている。 本説明板近くにある農道開設記念碑(農道は「昭和四一年三月竣工」)は、土地所有者の福重久雄氏などが、古墳の天井石を再利用して建立したものである。 二〇二一年三月一日 野田町内会・福重地区活性化委員会 > 補足 (この原稿は準備中。しばらく、お待ちください)
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