<補足説明>
草場町にある松尾神社(まつのお じんじゃ)の創建は、1548(天文17)年である。今富町にある大神宮と同じく、旧・福重村の守り神様で、また酒の神様としても有名である。大神宮と隔年ごとに開催される秋の例祭(おくんち)では、子どもたちの相撲大会も開催され、草場町民だけでなく福重地区全体の人達に親しまれている。
上表通り、草場の馬頭観音は、本殿に登る手前の鳥居や階段横(西側)にあり、場所が分かりやすいと思われる。(右側写真説明:中央部やや左側に馬頭観音がある。その右端側(東側)に鳥居と、本殿に登る階段が写っている)
そして、この場所やコンクリートブロック石垣上の境内(庭先)からの眺めは、近景で福重・松原両地区の田園風景や市街地、さらに遠景では大村湾や西彼杵(にしそのぎ)半島が一望できる。とりわけ、大村湾に映える秋の夕日は、素晴らしい風景である。
草場の馬頭観音は、彫りが繊細なのが特徴で、特に頭部や手の造りが細かい。また、蓮華座を(まるで省略したかのように)本体下部に図柄(模様)で描いてある。このような図で蓮華座を表してあるのは、市内にある馬頭観音では、そう多くはない。
あと、光背部分は全くない訳ではないが、極端に小さい造りといえる。このような造りは、梶ノ尾の馬頭観音その2に似ている。推測ながら、二つの馬頭観音の製作者は、同じ人だったのではと思えるほどである。
全体通して、この草場の馬頭観音は、そのレリーフの凹凸の高さや細やかななデザインに驚かされる。他の石像は彫りの高い(深い)のを除き、どちらかと言うと凹凸も少なくデザイン状もシンプルである。その理由は、石が細工しにくいからだと思われる。
私の推測ながら、草場の馬頭観音のような繊細な石像は、まず、下絵を描いた人のデザイン力が高かったと考える。そして、繊細な彫りの深い石像が彫り込まれているので、石工の技術も当然素晴らしかったと思える。特に、拱手している両手、両側の浮き上がったように見える形、髪の毛の細かさなどは、思わず見入ってしまうほどである。
(初回掲載日:2014年6月17日、第二次掲載日:6月19日、 改訂日:8月15日)
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