|
立福寺の馬頭観音の本体(拓本作業中) |
<補足説明>
まず、右側、拓本作業中の立福寺の馬頭観音写真を見て頂きたい。和紙から浮き上がったようなレリーフが、良く分かるかと思われる。最初に全体の姿形から見ると、上下・左右のバランスが良くて、大変スマートである。
細部を見ると、頭髪部分が繊細であることを筆頭に、全体ていねいに造られている。さらに、小さな馬に乗った大きな神様3人が、何かしらユーモラスである。実物は、もっと笑いを誘うような感じでもある。
しかし、古来からの馬頭観音そのもの顔つきは、「憤怒(ふんぬ)」の形相といって、様々な災いや魔を退治するため怒った形が多い。このようなユーモラスな表情は、私の推定ながら近代になってから、ある意味「庶民の要望」あるいは「庶民うけ」狙いで、石工(製作者)が応えた造りとも思える。
また、本体最下部にある蓮華座にも注目して頂きたい。大村市内に数多くの馬頭観音はあるが、どちらかと言うと蓮華座は前後左右に少し花開いた造りがほとんどである。しかし、この立福寺の馬頭観音の蓮華座は、本体の円筒形状の一部みたいにしてあるのが、一つの特徴でもある。
あと、馬頭観音の見分け方として、中には「像の頭部に馬の形がある」と解釈されている方もいる。しかし、この立福寺の馬頭観音のように像の下部に馬がある例もあるので、先の解釈と全て同じとは言えない。古来からある馬頭観音は除いて、近世や近代に造られた馬頭観音は、「基本形がない」と言っていいほど、多くの形がある。
立福寺町の馬頭観音祭(近年は秋祭りとの表現もあるようだ)は、熱心で晩秋の頃に、町内あげて開催されている。この立福寺の馬頭観音のある場所は、立福寺町内を縦断する市道の脇にある六社権現の境内にあるので見つけやすい。
(初回掲載日:2014年7月12日、第二次掲載日:7月14日 )
|