我楽多会(がらくたかい)定例会での福重・松原の古い石仏群の講話(概要報告)
日時:2019年6月11日19時15分〜19時45分
場所:寿楽
参加:13名
講師担当:上野
テーマ:福重・松原の古い石仏群について
講話の概要:
はじめに-----まず、福重・松原にある古い石仏群は、狭い地域に数が多いという点では、長崎県内では唯一で、九州内でも珍しい。しかも、例えば「謎の線刻石仏」のように、何の種類の仏像か、建立年代含めて謎が多い石仏でもある。
石仏を話せば一種類ごと最低でも1時間くらいかかるので、今回は、ほんの触り程度のお話をしたい。
あと、私は「古い石仏」 「新しい石仏」と区分している。その“古い・新しい”石仏の境目年は、(戦国時代、大村純忠の頃)天正2年(1574)である。この年にキリシタンによる他宗教弾圧事件が大村領内で起こり、仏教僧侶の殺害、神社仏閣の焼打ち、略奪、さらには古記録、木製の仏像、石仏も徹底して破壊された。
この境目年より古い石仏は、種類も表情も豊かである。しかし、この年より新しい(多くが江戸時代)石仏は、まるで大量生産された既製品みたいな仏像が多い。今回は、先のキリシタンによる破壊攻撃から、かろうじて難を逃れた福重・松原に現存している古い石仏の概要のみをお話しする。
1)石仏の種類と数
(1)滑石製平安仏=9体 、 (2)線刻石仏=16体 、(3)線刻不動明王像=1体 、(4)仏頭=3体 、 (5)六地蔵=2体
2)建立年代
(1)滑石製平安仏が平安時代末期〜鎌倉時代初期 、 (2)線刻石仏が平安末期〜中世時代 、(3)線刻不動明王像が鎌倉時代初期か中期 、 (4)仏頭が平安末期〜中世時代 、 (5)六地蔵が戦国時代
3)謎の線刻石仏について
この線刻石仏は、謎が多い。 ・何の種類か? ・建立目的? ・建立年代? 正確には記録類が全くないため、全て不明である。
納衣(のうえ)の下で拱手(きょうしゅ、中国式敬礼)した模様線が、共通した姿形である。それ以外は、様々ある。光背(こうはい、光の輪)があるのが3体あり、無いのが13体もある。仏像には蓮華座(れんげざ、蓮の花)に乗っている場合が多いが、16体全部、蓮華座はない。
この謎の線刻石仏は、仏像専門家によって説が様々ある。私は、如来系仏像もあるが、専門家の意見を総合すれば、『神仏習合像(しんぶつしゅうごうぞう)に近い』と思っている。いずれにしても、謎の多い石仏である。
4)仏頭の謎について
全国には、「一体型」や「セパレート型」が地震などにより頭部のみ残った例が多い。 弥勒寺の仏頭は、最初から頭部のみしか造っていない。これは、珍しく、また謎でもある。 大きさも縦、横幅とも80〜90cmあり、全国でも仏頭しては大きい方だ。
5)線刻不動明王像は、「長崎県一美しい」との意見・感想あり
専門家含めて見学者から異口同音に、「模様線が繊細で美しい」「今まで見たことがない」との感想が多い。中には線刻模様の石仏では、「長崎県一美しい不動明王ではないか」との高評価もある。
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・質疑応答(下記は、講話時と懇親会時も含めて出された質問で、同種同内容をまとめて書いている。なお、順不同である)
Q1:線刻石仏の実物(模様線)は、見えるのか?
A1:一部を除いて線刻模様線は見えにくい。だから、この冊子では模様線をCG加工して表示した写真を掲載している。なお、このCGは1か月強とか4か月かけて作業している。時間は非常にかかるが、その分、拓本よりも正確でもある。<参考ページ「CG石仏写真 もくじ」ページを参照>
Q2:現地で我々も見学(確認)できるか?
A2:シュシュの駐車場脇にある「下八龍の線刻石仏」は、シュシュにさえ行けば誰でも直ぐに見学できる。 「上八龍の線刻石仏」も弥勒寺公民館敷地内(熊野権現の境内)にあるため見学は、可能である。 「線刻不動明王像」は、弥勒寺公民館入口付近の市道脇にあるため自家用車に乗ったままでも見学は可能でもある。なお、私有地にある石仏が多いのも事実だ。
Q3:全部の石仏を見つけたのか?
A3:それは、違う。ほとんどが、大村史談会の本に紹介されている石仏が多い。ただし、我々(福重郷土史同好会)も今まで未発見だった3体を新発見した。ただし、まだ発見、紹介されていない石仏あるいは史跡もあると思う。。
Q4:あなたは郷土史は、いつからやっているのか?
A4:元々、私は仕事が大阪空港で丸25年間、インターネットなどが15年間強していた。その関係もあり、郷土史(調査、研究など)の方は、まだまだ期間は短く約15年間である。
Q5:郷土史以外も話しているのか?
A5:航空、インターネット、経済(なぜヨーロッパの不況回復は速いのか)なども話したいが、その需要が少ない。毎年、市内の小中学校で年間10時間強さまざまな分野を講話している。それ以外にも町内会、老人会などでも話している。聴講者は何の準備も要らないので私を呼んで欲しい。いつでも、どうぞ。<参考ページ「写真上映会、講演会できる主な内容」ページを参照>
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