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重井田町の天狗伝説
もくじ はじめに 伝説の背景 石や地名 飛び立ち石 地名の由来 足跡石 天狗岩と滝 まとめと名称 あとがき Q&A
重井田町の天狗伝説

郡岳の天狗 太郎坊は大石を飛んだ
はじめに

御手水の滝(おちょうずのたき、通称:裏見の滝)
古代、太郎権現(郡岳)修験者の修行場でした
はじめに

 野鳥鳴く、緑したたる谷間をひらりヒラリ飛んだ天狗は、どんな気分だったのでしょうか。

 長崎県大村市重井田町には、昔から天狗伝説があります。ここの天狗伝説は、大きな自然石にまつわる話しです。

 まず、重井田町の天狗に入る前に、全国の天狗について色々な話しから、始めたいと思います。私が調べてみると、日本では天狗の話は平安時代以前からあるようです。

 それらの中でも有名なのは源氏物語、義経記に登場する京都・鞍馬山の天狗などを始め、多くの書物に書かれています。また、各地でも古来より文献はなくても民間伝承として天狗伝説は、個性豊かに伝わって来ていました。

 天狗の言い伝えの中には、鼻が高く顔が赤いなど、その風貌により何かしら“悪役”みたいなものとしてとらえられている可哀相な天狗さんもいます。しかし、その多くが、荒修行などにより、人並外れた無類の力を発揮し、いつ、どこからでも民を救ってくれるような、現代風に言うなら正義の味方“スーパーマン”みたいな、いいイメージの話しがほとんどです。

 そのようなことから、伝承と同時に神社の絵図や絵馬を始め、天狗のお面、“天狗饅頭”、“天狗煎餅”、手工芸など天狗にまつわるお土産もたくさんあり、なかなか商売上も民の味方です。

 あと、全国各地の天狗は、山で活躍した伝承ばかりで、海で力を発揮した話しは皆無です。海で飛んでまわった天狗もいれば面白いでしょうね。やはり、天狗は山との結びつきが強いようで、各地の山岳信仰・霊場の関係で、そのほとんどが登場してきます。

 日本人はなにかにつけ、三大○○とか五大○○など好きですが、ご参考までに、日本には“八大天狗”と言われている有名天狗がいます。それは、下表の通りです。

日本八大天狗
番号
都 道 府 県 名
山 の 名 前
天 狗 の 名 前
簡 単 な 由 来 など
長野県 飯綱山 飯縄山の三郎 -
滋賀県 比良山 比良山の次郎坊 -
京都府 愛宕山 愛宕山の太郎坊 愛宕神社を守るため
京都府 鞍馬山 鞍馬山の僧正坊 牛若丸の武道の先生
奈良県 大峯山 大峯山前鬼坊 -
鳥取県 大山 大山の伯耆坊 -
香川県 白峰山 白峰山の相模坊 元は相模にいた
福岡県 英彦山 彦山の豊前坊 -

 この表を見ると、現在でもけっこう誰でも知っているような山あるいは山岳信仰の所と思われます。テレビなどでも、何かの例祭で山伏の格好をした人を見るような山ばかりです。天狗の名前も、それぞれの山から直接名付けたのが、そのほとんどと思われます。

 また、その山々は、その多くが深山幽谷で古来より林業などが営々と続けられてきた地域です。つまり、そこに住む人にとって天狗は畏れ敬いつつも、その無類のスーパーパワーに頼り、時には山伏のような親近感を覚え、また、あるいは山の神様みたいに接してこられたのではないでしょうか。(掲載日:2005年3月13日)


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