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重井田町の天狗伝説

郡岳の天狗 太郎坊は大石を飛んだ
あとがき

あとがき

天狗の飛び立ち石の「足跡」
「足跡」は右側が大きく、左側が小さい
 先のページで重井田町の天狗伝説についての「まとめ」を掲載しましたが、この「あとがき」のページでは、今回約1年間の調査、文章化(データ化)及び今後のことなどについて、書きたいと思います。

なぜ、重井田町の天狗伝説の文章化(データ化)を進めたのか
1)伝承できる方が少なくなってきている現実から
 豊かで長い歴史、さらには石造物も沢山ある「仏の里ふくしげ(福重)」です。しかし、このような天狗伝説みたいな民間伝承を話して下さる年配の方が(重井田町を含む)福重地区で本当に少なくなって来ている現実もあります。

 とにかく今の内に、なんとか一回くらい文章化を急いでしておかないと、どこと何が関連あるのかも分からなくなってしまう現実もありました。それで、1年間と少し(2004年1月から2005年3月)かけて、多くの方に尋ねたり、実際大きな自然石を調べてみました。

2)子どもたちに、ちょっとした夢と想像を
 今回調査している段階で、何軒かのご家族ともお話しする機会がありました。その時(大村弁で)「今ごろの殺伐とした話しの多かなかでん、こげな天狗さんの話しは夢があって良かねえ。子どもたちも喜ぶかもしれんバイ」と言って下さりました。

 さらに、今回の原稿をもとに子どもさん用のパンフレット(冊子)か、小学生版ホームページ作成も考えています。そのようなことにより、この天狗伝説に触れた今の子どもさんたちが、ちょっとした夢、あるいは福重の地域文化の豊かさや想像力の一助になりはしないかなあとも勝手に思っています。

3)新たな情報提供を呼びかける材料として
 この文章化は、この『福重ホームページ』に順次掲載してきました。公開することにより、これが材料となって、また、新たな情報提供があるのではとの期待もあります。この「あとがき」ページで一応の区切りとなりますが、さらに、新たな発見や情報提供があれば、いずれ追加掲載しようとも思っています。

4)わずかでも地域おこしの材料になりはしないか
 このホームページを見られた方で、この天狗伝説を材料に例えば、「天狗さんの絵本」、「自然のままの天狗関係鑑賞散策路」、「天狗饅頭」、「天狗煎餅」、「天狗アイスクリーム」などを作って下されば、福重地域や大村市の活性化に繋がらないかなあとも夢みました。ご参考までに全国各地域では、「天狗・・・」との名の付いた町(村)・地域おこしのプロジェクトや運動もあるようです。

御手水の滝(裏見の滝)、重井田町
手前は、裏見の滝シャクナゲ公園
(立福寺町)
5)“発展型の天狗伝説”か、“ストリー性のある天狗話“も、企画中
 今回のページは、あくまでも地元で伝わっている伝承ごとのまとめです。それでけでは、味も素っ気もないとおっしゃれば、その通りです。しかし、子どもさん用のパンフレット(冊子)作成する機会あれば、もっとストリー性のある民話風のものも必要かなあと、思っています。

 例えば「天狗さんが娘さんに恋をした」風のものとかです。このようなことについても、少し時間かかるかもしれませんが、このホームページに掲載しながら企画検討していこうと思っています。


長崎県内、最古に近い民間伝承を初めて文章(データ)化したのでは
 今回、
重井田町の天狗伝説を調べていましたら、同時に(あくまでも私の調査範囲内のことですが)下記のことについても、分りました。

1)重井田町の天狗伝説の文章化(データ化)は初めて
 私は、大村市重井田町と隣町の野田町などに伝わる伝承だけでなく、それ以外にも例えば大村の歴史、民話集や郷土史などに、この重井田町の天狗伝説がないか調べてみました。

 しかし、私の調べた範囲内では、この地域の伝承文書類はないようです。ですから、私のつたない文章ではありますが、この天狗伝承をその関係の地名=字(あざ)や「天狗・・」と名の付いた大石と関連して文章化(データ化)したのは、今回が初めてだと思います。

2)この天狗伝説は長崎県内、最古に近い民間伝承ごとでは
 重井田町を含め福重地区(旧:福重村、現在:福重小学校の校区)は、隣の松原地区、竹松地区含め、郡地区(こおりちく)と呼ばれ、大村市内で最も歴史のある所です。実際、松原地区の野岳湖からは旧石器時代の遺跡、福重地区からは5世紀頃の黄金山古墳を始め数多くの古墳も出土しています。

 また、奈良、平安時代からの肥前国(佐賀・長崎県の)郡役所(今で言う地方の出先機関みたいなもの)は、この3地区のどこかに置かれて、その後江戸時代前までは(県下最大の穀倉地帯と言うこともあり)福重地区などが、当時の長崎県央地域の政治経済の中心地でした。

裏見の滝シャクナゲ公園、立福寺町
 また、江戸時代大村藩よって編纂された郷村記(通称:大村郷村記)によると、大村市重井田町内にある郡岳(こおりだけ、826m)は、奈良時代、僧の行基が太郎岳権現を開いたと言われています。全国の天狗伝説は、奈良・平安時代頃よりの話として文献や伝承で伝えられてきました。

 その関係、「天狗通」「赤岩」の地名及び前述の郡岳の太郎岳権現との関連から、この重井田町の天狗伝説は、(私が調べた範囲内ですが)長崎県内最古に近い民間伝承(民話、昔話)ごとと思われます。


約1年間を振り返って
 このような調査などをしている途中、改めて分ったことがあります。最初私は、重井田町の天狗伝説は、根拠自体たいした数でもないし、それにあまり遠くでもないので、大きな自然石の調査含めて簡単に出来ると思っていました。

 ところが、色々な角度から調べていくと、一つの事項に行き着くとまた他の疑問が湧いてくるみたいな繰り返しで、調査だけで結局1年以上かかりました。何か物事を考える時、簡単に考えていけないなあと思ったことと、改めてデータベース作りが最も大事で根気の要ることなんだなあと、つくづく実感いたしました。

 あと、もう一つ、いくら自然石の調査及び同じ伝承を繰り返し聞くと言うことであっても、多くの方の協力なくして前に進まないことも分りました。その中にはまるで、”押しかけ調査”みたいなことも致しましたが、皆様この伝説に関しては心よく、あるいは楽しそうに教えて頂きました。

 そのような皆様の暖かいご協力もあり、おかげで何とかこの伝説をまとめることができました。本当に、ありがとうございました。また、このホームページをご覧になって下さった閲覧者の方々へ、感謝申し上げます。今後とも、よろしくお願い致します。(掲載日:2005年4月12日)
重井田町(郡岳を除く)全体及び天狗伝承関係図
注1:地図の上中央部の野岳湖付近は東野岳町で、上左側の鉢巻山付近は野岳町です。
注2:『御手水の滝』(通称:裏見の滝)は、重井田町内ですが、『裏見の滝シャクナゲ公園』は立福寺町です。

重井田町の天狗伝説
もくじ はじめに 伝説の背景 石や地名 飛び立ち石 地名の由来 足跡石 天狗岩と滝 まとめと名称 あとがき Q&A
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