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重井田町の天狗伝説
もくじ はじめに 伝説の背景 石や地名 飛び立ち石 地名の由来 足跡石 天狗岩と滝 まとめと名称 あとがき Q&A
重井田町の天狗伝説

郡岳の天狗 太郎坊は大石を飛んだ
まとめや名称など

天狗伝説にまつわる石や地名の概略拡大図
@「天狗の飛び立ち石」の石
A字の「赤岩」
B「天狗の足跡石」の石
C字の「天狗通」(てんぐとおし)
D「天狗岩」の石
▼御手水の滝(裏見の滝)
注:ページ下記に重井田町の全体図があります。
まとめや名称など

 重井田町の天狗伝説について、先に書いたページと重複してしまいますが、今まで書いてきたことをまとめると、次の「 」内の通りです。

  重井田には天狗がいた。高くて大きな岩から飛び立ったところ、飛びそこなって怪我して血が流れた。それでも、なんとか飛んだが疲れて休むために佐奈川内川(さながわちがわ)にある大きな石に休んだ。それから、さらに飛んで、次の大きな石に飛んだ。 

  そのようなことから、天狗が飛んだ時に怪我した血で赤くなった岩やその付近の地名を『赤岩』と呼ぶようになった。 

   休んだ石の上に天狗の足跡が付いたので、『天狗の足跡石』と言う。天狗が飛ぶ時に通ったので、その付近の地名を『天狗通』(てんぐとおし)と呼んでいる。最後に飛び乗った岩を『天狗岩』と呼ばれている 

 上記のまとめの通り、重井田町の天狗伝説は、大きな自然石にまつわる石やそれを由来とする地名です。なぜ、この伝承が、石や岩関係のみ残ったのでしょうか。また、全国各地の天狗伝説(現在も天狗関係の神社は多数あり)に比べて、なぜ神社などに祀らていないかも考えてみました。

 石は、少々の天変地異、長年の風雪があろうとも、木や紙に書かれた、あるいは作られたものより当然強いものです。それに比べ、木や紙などの史料は全く残っていないため真意定かではありませんが、仮に伝わっていたとしても、これらは自然の影響に弱く、残らなかったのかもしれません。

天狗の足跡石(別名「八枚敷き」(はちめじき)
石の頂上部(全て平ら、「足型」がいくつもある)
 あと、人が神社や史料を焼却したことも考えられます。戦国時代の1574(天正2)年、度重なる宣教師からの要請を受けていた大村純忠がついに許可し、領内にある神社仏閣のいっせい焼き討ち、キリシタンに改宗しない領民追放、僧侶などの殺害までおこないました。

 この時期、大村領内の貴重な史料(資料)も全て焼失したと言われていますので、この種の神社仏閣関係や伝承ごとも、他のことも含めことごとく焼却、破壊されたと考えられます。

 当然、口伝も一旦は途絶えたと思えます。しかし、結果として、これらの大きい石や岩などは焼くにやけないですし、言い伝えもかすかに伝承する人がいたため、その後はずっと現在まで続いたと思われます。

 また、地元の住んでおられる所から、いくつかの大きい石は日常見ようとおもえば見える位置にありますし、歩いて直接触れる場所にあったため親しみやすさもあり、伝承も長続きしたと考えられます。

天狗の名前は、仮称“郡岳の太郎坊”
 この天狗伝説が一番強く残っている当該の重井田町及び隣の野田町の年配者の方々に、天狗の名前について、私は尋ねてまわりました。でも、私が調べた範囲内では、名前まで伝承されていないようです。最初から全然なかったのか、はたまた、名前はあったがいつの間にか消えたのか、不明です。
郡岳(前方は重井田町の集落と田んぼ)
奈良時代、僧の行基が郡岳に太郎権現を開山

 歴史とか郷土史類の文書を書く時は、仮称などは避けなければならないことです。でも、民間伝承の天狗伝説に免じて頂いて、ここで名前を付けたいと思います。奈良時代に「僧の行基が郡岳に登り『太郎岳権現』を開いた」と言う古事(大村郷村記)にちなんで仮に「郡岳の太郎坊」と呼びたいと思います。

 「郡岳の太郎坊」は、全国に名の売れたスーパースターの天狗に比べ、なんか人間臭いなあと、私個人は思いました。なぜかと言いますと、「天狗の飛び立ち石」から飛んで血を流したとか、一回で飛べずに休憩して佐奈川内川の「天狗の足跡石」で休んだとか、およそ、スーパーパワーを持ち合わせた天狗とは思えない伝承が伝わっているからです。

 でも、この天狗が飛んだ付近は、杉林が豊かなところで、多くの方にその恵みをもたらしました。分っている範囲内でほんの一つの実例ですが野田町公民館の使用木材は、この「赤岩」付近の郷有林(町有林)から伐採・製材され、1954(昭和29)年に建てられました。このような木材使用は、大昔からいくつもあったと想像されます。

 案外この「郡岳の太郎坊」は、神聖な山や『太郎岳権現』を守るだけではなく、重井田の人里近くにいて、古来より木や林を守りながら、人の役立つことをするために奮闘していたのかもしれません。(掲載日:2005年4月7日)

重井田町(郡岳を除く)全体及び天狗伝承関係図
注1:地図の上中央部の野岳湖付近は東野岳町で、上左側の鉢巻山付近は野岳町です。
注2:『御手水の滝』(通称:裏見の滝)は、重井田町内ですが、『裏見の滝シャクナゲ公園』は立福寺町です。

重井田町の天狗伝説
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