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重井田町の天狗伝説
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重井田町の天狗伝説

郡岳の天狗 太郎坊は大石を飛んだ
天狗の飛び立ち石

天狗の飛び立ち石
頂上部の石(中央右側、足型のように見える窪み)
この岩は頂上部から数えて3段目位にある
天狗の飛び立ち石

 この『天狗の飛び立ち石』(「赤岩」とも言われている)は、正確に言えば多良岳(たらだけ、982m)の溶岩が尾根づたいに流れ出した一部が、冷えて固まり、岩を形成しているものです。

 この付近の岩場は、御手水の滝(おちょうずのたき、通称:裏見の滝)で見られるような幅広い一枚岩の岩盤ではありません。むしろ、バラバラな石ながら重なっているような石ばかりです。

 そのようなバラバラな大きな岩(ずっと上下重なっている部分)をつなぐと、目算ですが高さ10mから15mくらいはあろうかと思える岩場です。

 岩場の角度は、頂上部や上から数えて2段目位までは緩やかですが、次の3段目、4段目当りが一番急です。これら岩は、数十年前までは、山林が茂っていなくて重井田の各所から見えたそうです。

  また、この岩場全体は、横の方に長さ百数十メートルあろうかと思います。つながっていたり、あるいはバラバラな岩がずっと並んでいる感じです。

 あと、車のない頃、重井田から萱瀬方面に行く時は、細い山道がこの岩場下にあり、そこを歩いたそうです。ですから、この岩場や道はけっこう地元の人にとって馴染み深い所でした。

 この岩場は、字図で示せば『赤岩』にあり、尾根(野田町あるいは宮代町側の)頂上付近にあります。最頂上付近は杉林で平坦な所です。

 地元の伝承ではこの岩の上から、天狗がヒラリとが飛んだと言われています。あと、次の項目(別ページ)と重複しますが、、それは大昔のある時、「天狗が飛びそこなって怪我をして血を流して、この岩が赤くなった」と言う伝承があります。

 それで、この付近の岩場が「赤岩」と呼ばれる元になりました。写真でもお分かりの通り、頂上部の石は、ほぼ平らです。

まるで「天狗の足跡」みたい
 この平らな石の大きさは、重井田町方面(北に向かって)横の長さ(東西の幅)に3m10cm、縦(南北)に2m30cmの大きさがあります。この石の上には、長年、落ち葉や枝が堆積し、さらには植物などの成長により、そこが丁度ゴザみたいになっています。

天狗の飛び立ち石の「足跡」
「足跡」は右側が大きく、左側が小さい
 そのゴザみたいな物をはぐと、足型みたいな形がくっきり現れてきます。この足の形らしきものは、一つだけでなく、数個視認できます。

 その中で一番輪郭がはっきりして、しかも彫りの深い足型は長さが約40cmで、幅が約22cmあります。(拡大写真を参照) その形は、まるで石膏か何かで左足を作ったように見えるくらいです。(写真の赤色ボールペンの長さは約13cm)

 あと、もうひとつ足型に見えるのが先ほど説明した足形の直ぐ隣に、長さ約39cm、幅15cmのくぼみが見えます。この足型は、全体にあまり彫りが深くないのですが、かかとの部分のみ革靴の底が入るくらい(約1cm)の深さがあります。

 これらとは別にあと数個、足型に見ようと思えばみえないことではありませんが、この二つに比べれば明確さに欠けます。

 別ページに書く予定の佐奈川内川(さながわちがわ)にある『天狗の足跡石』の「足跡」については、伝承でも地元の方も以前から多くの人が見たと言うことを私は聞いていました。しかし、『天狗の飛び立ち石』(「赤岩」とも言われている)の方は、「天狗の足跡がある」との伝承はなく、見たと言う人も知りませんでした。

 それで、これらの「足跡」を新発見した時は、私は「えっ、ここにも足型があったのか」と声が出てしまい、驚きました。しかし、冷静になって考えて、この足型は「天狗の足で付けたものか」、自然に出来たものか、はたまた大昔に誰かが彫ったものか、私個人では分りませんでした。

 足型については、それ以上詮索することは夢や想像を壊すので止めにして、ゴザみたいなになっている堆積物をそっとそのまま元に戻しておきました。出来れば、足の長さ約40センチの天狗が、この石から飛ぶ前に付けたものと思いたいです。(掲載日:2005年3月27日)


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