大村の歳時記シリーズ | 育苗箱・苗床・苗代 |
写真1:田植え機械用の育苗箱 (大村市今富町にあるJA長崎県央・北部ライスセンター西側。2019年6月1日撮影) | ||||||||||
育苗箱・苗床・苗代(いくびょうばこ・なえとこ・なえしろ)
上記にも書いていますが、田植え機械用の育苗箱であっても、その準備や生育の期間中などには、この言葉「苗床・苗代」は、現在も、そのまま使われています。そのため、この項目では、「昔の苗床・苗代」と、わざわざ頭に「昔の」と書いていることは、ご注意願います。 <写真3を参照> まず、この写真は、田植え機械がなかった頃に撮影されたものです。<1960〜1965(昭和35〜40)年頃、大村市今富町の田んぼにて> 写真手前側が分かりやすいですが、苗が高さ20cm前後に成長しています。 そして、写真に写る6名の方は、その「昔の苗床・苗代」にて、苗が生育したため、手に持てるように苗を束ねているところです。あと、写真奥側では、別の田んぼへ田植え用に運び出すため、その束ねた苗を、さらにまとめているところと推測されます。 なお、この「昔の苗床・苗代」用の田んぼは、当然、各農家によって違います。ただし、少し共通しているのが、いくつかありました。まず、どの農家も、たいていの場合、井手(用水路)から水が入りやすい(井手の上流側)田んぼで、しかも束ねた苗を運び出しやすい便利な所が多かったです。つまり、”田んぼの一等地”みたいな場所でした。
昔から田植え(たうえ)と言えば一部、種(たね)の田んぼへの直まき(じかまき)を除けば、ほとんどが苗の手植えでした。その方法を劇的に変化させたのが、(私の大ざっぱな記憶ながら)1970年前後頃から大村市内でも登場した田植え機です。 そして、この機械に供給するのが、育苗箱で育てた苗です。<写真1、2、4、5参照> この育苗箱は、それまで、「昔の苗床・苗代」用の田んぼで、苗を育成させていた方法までも画期的に変えました。つまり、育苗箱で育てる方法に変えれば、田んぼ(水田)ではなく、例えば農家の庭でも苗は、育成できました。 そして、 「苗かがり」という重労働も、農家かから解放するものでした。(それに掛かる人数も少なくなりました) ですから、稲作をおこなう農家は、育苗箱と田植え機導入は、数年も待たずして一気に変わったと記憶しています。 ・育苗箱の大きさや敷紙など あと、この育苗箱のサイズについて、箱の外寸<横幅約30cm、奥行(縦)約60cm、高さ約4cm(弱)>は、導入当初も現在も変わりないようです。しかし、箱の内寸の方は、育苗箱製造メーカーによって、少しだけサイズが違っているようです。ただ、田植え機の苗を備え付ける所(苗載台)が、どの農機具メーカーも、ほぼ同じですから、ほとんど横幅約30cm弱=大体28cmは、当初から変わっていないと思われます。 あと、箱の底に敷く物=敷紙が、当初は新聞紙だったような記憶が残っています。今現在では、育苗箱専用の敷紙が使われているようです。この敷紙は、苗がよく育ち、取り出す時の苗箱離れを良くするためでしょう。また、育苗箱の底に空いている穴の形状も数も当初の頃から、変化したように思えます。 いずれにしても、育苗箱も、その箱での苗の育て方も、あるいは田植え機械に備え付ける方法それ自体は、導入当初から基本形自体は変わっていないようです。しかし、個々の作業方法、育苗箱や田植え機の構造などは、年々、変化(進化、改良)されているようです。
先に述べたように、農家自ら育苗箱で苗を育てる方式ならば、その場所は、水の確保・供給、さらには運び出しやすい農家の庭や、水田ならば”田んぼの一等地”みたいな所でした。しかし、何年頃からか不明ながら、農協などで苗を大量に育て、そして、その苗を農家が購入する方式へ変わってきました。 (写真1、6を参照) 例えば、大村市の北部では、今富町にあるJA長崎県央・北部ライスセンター周囲で、春になれば何百箱という単位で育苗箱で苗が育てられています。そして、各農家が必要数に応じて、苗を購入する方式が実施されています。当然、田植え機で田植えが終われば、箱は返却されます。 このような苗の購入には、当然費用は掛かります。しかし、育苗箱に種をまき、そして、育成させるやり方は、その準備も期間もかかりますので、農家はそのことからも解放されたということでしょうか。そして、その期間は、別の農作業もできます。 補足 (この原稿は準備中。しばらく、お待ちください) コメ関係ページ:田起こし(たおこし) 、 代明け(しろあけ)・代掻き(しろかき) 、 「苗かがり」 、 田植え(たうえ) 、 稲刈り(いねかり) 、 脱穀(だっこく) 、 籾すり(もみすり) 、 精米(せいまい) 初回掲載日:2019年8月15日、第二次掲載日:8月18日、第三次掲載日:8月24日 、第四次掲載日:8月25日、第五次掲載日:8月31日、第六次掲載日: 月 日 |
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